妻に全財産を残す遺言書の書き方(子供がいない夫婦)

子無し夫婦は遺言書必須!?夫の全財産、妻にはいかない。
の記事の続きにもなりますが、

今回は、効力のもつ遺言書の書き方です。
(自筆証書遺言といわれるものです)

注意点については、
文例の後に記載しますのでチェックを忘れないでくださいね。


子供がいない夫婦で、
「妻に全財産を残したい場合」の遺言書の文例です。

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遺 言 書

遺言者 山田太郎は次の通り遺言する。
遺言者に属する一切の財産は、妻 山田花子(昭和○年○月○日生)に相続させる。

平成○年○月○日

東京都○区○丁目○番○号
遺言者 山田太郎 実印

 

これだけで、立派な遺言書となります。

印鑑は、印鑑登録された実印が好ましいです。

ただし、

子供がいる(先妻の子や婚外子(非嫡出子))場合は、
これだけですと問題が起こる可能性があります。

子供には「遺留分」が保障されていて、請求する権利をもっています。
※遺留分とは、
民法上確保された一定割合の相続財産のこと。

請求されなければ問題ありませんが、
請求された場合は、妻に全財産を残せないことになります。

それを避けるためには
具体的に表記した遺言書を作成する必要があります。

遺 言 書

遺言者 山田太郎は次の通り遺言する。
1、妻 山田花子(昭和○年○月○日生)には以下の財産を相続させる。
(1)、土地
所在 東京都○区○○
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○平方メートル
(2)、建物
所在 東京都○区○○
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造スレート葺2階建て
床面積 1階 ○平方メートル
2階 ○平方メートル
(3)、預金
①△銀行△支店の遺言者名義の普通預金 口座番号 123456
②○△銀行△支店の遺言者名義の定期預金 口座番号 123456
2、その他遺言者に属する一切の財産は、妻 山田花子に相続させる。
3、遺言執行者として、妻 山田花子を指定する。
4、付言事項

3のように、遺言執行者を指定しておくと、
比較的手続きがスムーズにいきます。

付言事項は、法的効力はありませんが、
残された家族へのメッセージになります。
なぜ妻だけに相続させたいかなど理由を書くと良いでしょう。

 

遺言書を書き終えたら、封筒に入れます。

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封筒の表には「遺言書」と記載し、
裏には、作成日と署名、押印をします。

こちらの押印も、印鑑登録された実印が良いでしょう。

封はのりづけしてもしなくても
どちらでもいいとされていますが、

のりづけした際は
押印に用いた実印で封印してください。

 

以上が、
遺言書の書き方(自筆証書遺言)となります。

今回は、妻に全財産を残す遺言ですので、
遺言書は妻に預けておくといいと思います。

ここで、自筆証書遺言のデメリットでもあるのですが、
妻が注意しなければいけないことがあります。。。

それは
「検認」の手続きが必要となる、ということ。

この検認手続きが終わらないと、
遺言書の記載通りのことができません。

例えば、
不動産の相続登記や預金の引き出しなどです。

検認は家庭裁判所で行うので、
妻が遺言書を開封してはいけません。

遺言書は未開封のまま家庭裁判所へ提出します。

注意しましょう。

 

検認しなかったらどうなるの?

検認手続をしなくても
遺言は無効にはならないのですが、

行政罰を受けます。

家庭裁判所に遺言書を提出しなかったり、
検認せずに遺言を執行したり、
封印のある遺言書を家庭裁判所外で開封をした場合は、

行政罰である5万円以下の過料に処せられることに
なっています。(民法1005条)

 

・・・どっちにしろ、
検認していない遺言書をみせたところで
相続登記や銀行も動いてはくれないようです。

検認手続き、必須ですね‥(=_=)

この「検認」について、
私はとても気が重いことがあります。。。

その思いを書くと長くなってしまうので、
またの機会にしましょう。

その思い、書きました。
遺言書の検認ってかなりブルー。。。

 

それでは最後に、

遺言書の書き方の流れのおさらいです。

ボールペンなどの文字が消えない筆記用具で、
丈夫な用紙に書きましょう。

1.タイトルは「遺言書」とします。
2.全文自筆で書きます。
3.正確な日付を記入します。
4.自筆で署名・押印をします。
認印でも法的には問題ありませんが、
トラブル防止のために印鑑登録された実印が良いです。
5.自筆証書遺言を封入・封印し、保管します。

今は遺言書キットというのがあるので
それを利用してもいいかもしれませんね。


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